- 沖縄の新鋭ブルワリー3軒を3日間で飲み歩き(MAHOWBREW・AGARIHAMA・FILL BREWING)
- MAHOWBREWはJGBA2025ゴールド受賞の実力派。9%のインペリアルゴーゼ「Cleopatra」が絶品
- FILL BREWINGは元BBOYの店長が1人で醸造。IBC・KIBA受賞の「パパパパイナポー」が必飲
沖縄でクラフトビールといえば、ヘリオスやオリオンのイメージが強いかもしれません。でも実は、沖縄県内のマイクロブルワリーは19軒以上にまで増えていて、ここ数年で個性的な新鋭が続々と誕生しています。
今回訪れたのは、那覇・壺屋のMAHOWBREW、与那原町のAGARIHAMA BREWERY、沖縄市コザのFILL BREWINGの3軒。いずれも2023〜2024年にオープンした新鋭で、既存のブルワリーとは一線を画すスタイルを打ち出しています。
3軒とも「自分たちのスタイルを貫く」という芯の強さがあって、飲んでいて楽しいお店でした。それぞれのビールの味わいと、お店の雰囲気をレポートします。
- MAHOWBREW(マホウブリュー)|那覇・壺屋の新鋭ブルワリー
- AGARIHAMA BREWERY|与那原町の実力派ブルワリー
- FILL BREWING(フィルブリューイング)|コザ商店街の1人ブルワリー
- 店長のこだわり|「安易に組まない」という信念
- 今回飲んだビール一覧
- アクセス・営業情報
- Untappd Rating Sorterで沖縄ビールを探そう
- あわせて読みたい
- まとめ
MAHOWBREW(マホウブリュー)|那覇・壺屋の新鋭ブルワリー
やちむんの街・壺屋に誕生したブリューパブ
MAHOWBREWは2024年8月に那覇市壺屋にオープンしたブルワリーです。タップルーム「Witch's Sandwich」を併設していて、ランチタイムはキューバサンドイッチ、ディナータイムはクラフトビールバーとして営業しています。
ヘッドブルワーは大阪のDerailleur Brew Worksで醸造責任者を務めていた栁漠(やなぎばく)氏。国内外のビール審査会での受賞歴もある実力派が、沖縄の食材を活かしたビール造りに挑んでいます。2024年6月に酒類製造免許を取得してからわずか半年で、缶ビールの全国流通を開始するなど、その勢いは止まりません。
毎月約4種類のペースで新作をリリースしており、JGBA2025(ジャパン・グレートビア・アワーズ)ではインペリアルゴーゼ「Juliet」が金賞を受賞。オープン1年足らずで国内ビール審査会での評価を勝ち取っています。
Cleopatra|9%なのに飲めてしまうインペリアルゴーゼ
この日のタップリストを見て驚いたのが、ハイアル(高アルコール)のビールがずらりと並んでいたこと。しかも3つは売り切れていて、残っているのはほぼハイアルばかり。かなり攻めたラインナップです。
その中から選んだのがCleopatra。Imperial Gose w/ Pineapple, Kabuchi, Coconut, Okinawan Cinnamon。アルコール度数9.0%のゴーゼです。
沖縄産パイナップル、カブチー(沖縄在来の柑橘)、カラキ(沖縄シナモン)、ココナッツと、沖縄の素材がふんだんに使われています。
飲んでみると、しっかりパイナップルが前面に出ていて、9%とは思えない飲みやすさ。ゴーゼ特有の塩味と酸味がパイナップルの甘さとバランスを取っていて、スイスイいけてしまいます。
美味しかったので缶を1本購入。ついでにParty -Ginger Gose-(10.0%)も買って帰りました。こちらはインペリアルゴーゼに生姜、カラキ、月桃、ラム酒を合わせた一杯。原材料の複雑なハーモニーをジンジャーがまとめてくれている感じで味は美味しかったものの、さすがに10%はキツくて半分も飲めませんでした。
ハイアル好きでストロング系でも水のように飲める人には最高の環境ですが、2杯目を気軽に頼みたい派としてはラインナップの幅がもう少しあると嬉しいところ。
2杯目はルートビア|The Root Beer Journey
ハイアルばかりで2杯目に悩んでいたところ、目に入ったのがThe Root Beer Journeyのルートビア。「Root Beer」って実はジャンルとして確立されているんですね。
飲んでみると、原材料から想像できる通りハーブ with コーラという表現がぴったり。独特ではあるけど、ビールの合間の口直しとしてはなかなか面白い選択肢です。
このルートビア、奈良県生駒市で作られています。石垣産のキビ糖100%に、石垣産のヒハツモドキなどを使用。MAHOWBREWの「Witch's」は公式の取り扱い店(ディーラー)になっているそうです。
AGARIHAMA BREWERY|与那原町の実力派ブルワリー
MAHOWBREWの翌日(12/25)は、与那原町のAGARIHAMA BREWERYを訪問しました。醸造タンク3基の小さなブルワリーですが、JGBA2024ではSUNRISE PALE ALEが金賞、GAJUMARU WIPAと今帰仁マンゴーIPAが銀賞を受賞した実力派です。
「2〜3杯飲んでも重くないビール」をコンセプトに掲げていて、スムージービールやミルクシェイクIPAなど個性的なラインナップが楽しめました。醸造所見学の様子やビールの詳細レビューは別記事にまとめています。
FILL BREWING(フィルブリューイング)|コザ商店街の1人ブルワリー
元BBOYが立ち上げた、全部1人のブルワリー
AGARIHAMA BREWERYから1日後、沖縄市コザの商店街にあるFILL BREWINGを訪問しました。2023年10月にオープンしたマイクロブルワリーです。
17時のオープンと同時に入店。すでに1人飲んでいるお客さんがいて、自分は2人目。その後も1人客がぽつぽつと来て、持ち帰りの海外のお客さんも。店長が「こんなオープンから来るの滅多にない!」と驚いていました。
FILL BREWINGの最大の特徴は、師匠なし・出資者なし・共同経営者なし、文字通り全て1人で運営していること。店長は元BBOYのブレイキンダンサーで、店内のTVにはローリンヒルのMVが流れていて雰囲気にマッチしています。HIPHOPカルチャーとクラフトビールの融合が、このブルワリーの独自性を生んでいます。
テイスティングフライトで3種飲み比べ
メニューには全8種のビールがスペック付きで並んでいます。テイスティングフライトは2,000円で3種類を選べる仕組み(2024年12月時点)。
選んだのはこの3つ。
- 55 Kings(Golden Ale, 4.7%)
- Into the Dope(Imperial Milk Stout w/ vanilla, 8.6%)
- パパパパイナポー(Pineapple Berliner Weisse, 4.0%)
テイスティングにしては1杯の量がかなり多い。全然これだけで満足できるボリュームです。
55 Kings|琉球ゴールデンキングスの応援ビール
55 KingsはABV 4.7%、IBU 25のゴールデンエール。琉球ゴールデンキングス(B1リーグ)の応援ビールとして作られた一杯です。JGBA2025(ジャパン・グレートビア・アワーズ)で銅賞を受賞しています。
シンプルにホップをしっかり感じる、飲みやすいビール。華やかなホップの香りがありつつも、ゴールデンエールらしいクリアな飲み口で、最初の1杯にぴったりです。
Into the Dope|8.6%を感じさせない危険なスイーツスタウト
Into the DopeはABV 8.6%、IBU 30のインペリアルミルクスタウト。沖縄産バニラビーンズを使用したコーヒーバニラ風味の一杯です。
見た目は真っ黒。飲んでみるとスイーツのような甘さとしっかりした舌触り。飲みごたえはあるのに8.6%のハイアルさを全く感じない、危険な一杯です。ストロング系がそこまで得意ではない自分でも、これはするする飲めてしまいました。
パパパパイナポー|パイン好きなら絶対飲むべき一杯
そしてこの日のベストがこれ。パパパパイナポー。ABV 4.0%、IBU 4のパイナップルベルリナーヴァイセです。
沖縄県東村産のパイナップルを使用していて、IBC2023(インターナショナル・ビアカップ)銅賞、KIBA2024銀賞と受賞歴も十分。
パイナップルの甘さと酸味がしっかり感じられて、ゴーゼを飲んだ後のような爽やかな後味。IBU 4なので苦味はほぼゼロ。クラフトビール初心者やフルーツビール好きの人にも自信を持っておすすめできます。
おでんとビール|ブルワリーの意外なペアリング
FILL BREWINGにはフードメニューもあります。この日あったのはセルフサービスのおでん(500円)。たまご、厚揚げ、大根、こんにゃくの4種。「自分が食べるように作ったんですよ」と店長が笑いながら教えてくれました。
ビールのアテとしては最適。ほかにもスナック(300円)が置いてありました。
店長のこだわり|「安易に組まない」という信念
FILL BREWINGの店長と話していて印象的だったのが、ビール造りに対する強いこだわりです。
ブルワリー同士の横のつながりや協会から声がかかることもあるそうですが、「安易にコラボはしない。本当にリスペクトできる相手と仕事がしたい」という信念を持っています。
もちろん、人の力を借りて幅を広げるやり方もあるし、それはそれで正解。ただ、こだわりの部分がその店の色になり、商品になり、その人柄に惚れた人がお客さんになる。そういうものだと思います。
向かいには友人が営むHOPPED UPというビアバーもあって、コザ商店街はクラフトビール好きにとって面白いエリアになっています。
今回飲んだビール一覧
3軒で飲んだビールをまとめました。どれも個性が違うので、好みに合わせて参考にしてください。
| ブルワリー | ビール名 | スタイル | ABV | IBU | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| MAHOWBREW | Cleopatra | Imperial Gose | 9.0% | - | 沖縄産パイン・カブチー・カラキ使用。甘酸っぱく飲みやすい |
| MAHOWBREW | Party -Ginger Gose- | Imperial Gose | 10.0% | - | 生姜・月桃・ラム酒。複雑だが10%はキツい |
| FILL BREWING | 55 Kings | Golden Ale | 4.7% | 25 | 琉球ゴールデンキングス応援ビール。JGBA2025銅賞 |
| FILL BREWING | Into the Dope | Imperial Milk Stout | 8.6% | 30 | 沖縄産バニラ使用。スイーツのような危険な飲みやすさ |
| FILL BREWING | パパパパイナポー | Pineapple Berliner Weisse | 4.0% | 4 | 東村産パイン使用。IBC2023銅賞・KIBA2024銀賞 |
アクセス・営業情報
MAHOWBREW(Witch's Sandwich -MAHOWBREW Tap Room-)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 住所 | 沖縄県那覇市壺屋2-4-3 1F |
| アクセス | ゆいレール牧志駅から徒歩約10分 |
| 営業時間 | LUNCH 11:00〜15:00 / DINNER 18:00〜22:00 |
| 定休日 | 火曜日 |
| 電話 | 050-1343-1866 |
| 駐車場 | あり(台数少なめ) |
※営業時間・定休日・価格は変更の可能性があります。訪問前に公式サイトまたはInstagramでご確認ください。
FILL BREWING
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 住所 | 沖縄県沖縄市中央1-4-8 福地ビル1F |
| アクセス | 那覇から車で約40分。コザ十字路そば |
| 営業時間 | 金・土 17:00〜23:00 / 日 13:00〜17:00 |
| 定休日 | 月〜木 |
| 電話 | 098-952-6921 |
| 駐車場 | なし(周辺の有料駐車場を利用) |
※営業時間・定休日・価格は変更の可能性があります。訪問前にInstagramでご確認ください。
オンラインでも購入できます
現地に行けなくても、どちらのブルワリーもオンラインショップで購入可能です。MAHOWBREWは公式ショップ(BASE)、FILL BREWINGは公式ショップ(STORES)から注文できます。送料等の詳細は各公式ショップでご確認ください。2025年1月には缶ビール第二弾として「V.I.T.R.I.Ø.L II」「Kaguya」「Dean Town」「The Cauldron」の4種もリリースされており、全国どこからでも沖縄クラフトビールを楽しめます。
Untappd Rating Sorterで沖縄ビールを探そう
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あわせて読みたい
まとめ
MAHOWBREW、AGARIHAMA BREWERY、FILL BREWING。3軒とも2023〜2024年にオープンした新しいブルワリーですが、すでにそれぞれ独自のスタイルを確立しています。
MAHOWBREWは攻めたハイアルラインナップが特徴。Cleopatraのように沖縄の素材を活かしたインペリアルゴーゼは、ゴーゼ好きなら一度は飲んでほしい一杯です。JGBA2025ゴールド受賞の実力は本物で、缶ビールの全国流通も始まっています。ストロング好きにはたまらない環境ですが、低アルコールの選択肢が少ないのは好みが分かれるところ。
AGARIHAMA BREWERYは「2〜3杯飲んでも重くないビール」がコンセプト。JGBA2024で金賞・銀賞を受賞しており、小さいながらも確かな醸造技術が光ります。スムージービールやミルクシェイクIPAなど、ビール初心者にも飲みやすいラインナップが揃っています。
FILL BREWINGは元BBOYの店長が1人で全てを手がけるマイクロブルワリー。受賞歴のあるパパパパイナポーを筆頭に、幅広いスタイルのビールを楽しめます。テイスティングフライトのコスパも良く、店長との会話も楽しい。
沖縄旅行で「大手ビール以外も飲んでみたい」と思ったら、ぜひこの3軒を候補に入れてみてください。3軒とも個人経営の小さなブルワリーだからこそ、店主の人柄や哲学がビールに直結しています。大手では味わえない、沖縄の「今」を感じるクラフトビール体験ができるはずです。