- フリーランスの複数案件掛け持ちは約半数が実践中だが、週5フルタイム2本は現実的に難しい
- フルリモート案件なら通勤ゼロ・時間の自由度が増し、掛け持ちの前提条件が整う
- 精算幅・守秘義務・スケジュール管理の3つを押さえれば、掛け持ちリスクは大幅に下がる
- フリーランスエンジニアの複数案件掛け持ちの実態
- 複数案件掛け持ちのメリット
- 週5日フルタイム案件では掛け持ちが難しい理由
- フルリモートが複数案件を可能にする理由
- 複数案件の掛け持ちを成功させる5つのポイント
- 掛け持ちに向いた案件の探し方 — フルリモート特化エージェントを使う
- 複数案件掛け持ちのリスクと注意点
- まとめ:複数案件掛け持ちはフルリモートがあって初めて現実的になる
フリーランスになると「複数の案件を掛け持ちして収入を増やしたい」と考えることがあります。
独立年目の筆者が、複数案件掛け持ちの現実と、フルリモートがなぜ「掛け持ちの前提条件」になるのかを解説します。
フリーランスエンジニアの複数案件掛け持ちの実態
約半数のフリーランスが複数案件を受注している
「フリーランスエンジニア白書2023年版」によると、2件の案件を掛け持ちしているフリーランスは全体の27.4%、3件が19.6%と、2〜3件の掛け持ちが最も多い傾向にあります。
合わせると約半数近くが何らかの形で複数案件を受注しているという計算です。
実態をつかまずに「掛け持ちすれば収入が2倍になる」と安易に考えると、品質低下や体調悪化のリスクを引き起こします。
「掛け持ち」のパターンは大きく2種類
| パターン | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| フルタイム+副業型 | 週5日メイン案件+週1〜2日サブ案件 | ★★★(時間管理が難しい) |
| 週3日×2社型 | 週3日案件を2社掛け持ち | ★★(スケジュールが組みやすい) |
| 週5日×2社型 | 週5日案件を2本同時進行 | ★★★★★(ほぼ非現実的) |
「週5日×2社」はほぼ非現実的です。1社のフルタイム案件は精算幅140〜180時間/月が標準で、2社合計すると単純計算で月280〜360時間になります。これは睡眠時間を削らない限り維持できません。
複数案件掛け持ちのメリット
メリット1:収入のリスク分散
フリーランスにとって最大のリスクは「案件が突然終了すること」です。
1社に依存した状態だと、案件終了イコール収入ゼロです。2社掛け持ちなら、1社が終わっても即座に収入がゼロになるリスクを下げられます。
メリット2:スキルの多角化
1社の案件だけだと、扱う技術が偏りがちです。複数社の案件を受けることで、異なる技術スタック・業種・チームの文化に同時に触れられます。
フリーランスのキャリアを長く続けるには、スキルの幅を広げることが重要です。「A社ではRuby/Rails、B社ではGoを使っている」という状態が結果的にポートフォリオを強化することもあります。
メリット3:収入の上限突破
1社フルタイムの単価が70万円/月でも、週3日の案件を2社掛け持ちすれば理論上は70万円×2社分の稼働に近づけます(実際は週3日案件の単価は週5日換算より少し下がることが多いですが)。
フリーランスの収入上限を引き上げる最も現実的な方法が複数案件受注です。
週5日フルタイム案件では掛け持ちが難しい理由
精算幅の壁
筆者が案件選びで使っているのが「精算幅140〜180時間」ルールです。
精算幅とは、稼働時間の下限〜上限の範囲のことで、例えば「160〜180時間」と設定されている案件では、月160時間以上稼働しないと下限控除が発生し、180時間を超えると超過分が別途加算される仕組みです。
この精算幅ルールを1社に当てはめても、月あたり140〜180時間の稼働が発生します。2社分だと280〜360時間。月の労働時間がそれだけあると、物理的・精神的に限界を超えます。
週5日フルタイム案件を2本掛け持ちするのが難しい根本的な理由がここにあります。
コンテキストスイッチのコスト
エンジニアリング業務で見落とされがちなのが「コンテキストスイッチのコスト」です。
A社のコードから頭を切り離してB社のコードへ切り替えるには、思った以上に時間がかかります。特に設計の深い部分や複雑なバグ対応をしているときは、スイッチに30分〜1時間かかることも珍しくありません。
フルリモートが複数案件を可能にする理由
では「掛け持ちが難しい」と言いながら、なぜ約半数のフリーランスが実践できているのでしょうか。その鍵がフルリモートです。
理由1:通勤ゼロで時間が生まれる
出社が必要な案件だと、1社への移動時間だけで1日2〜3時間が消えることがあります。フルリモートならこの時間がそのまま残ります。
2社掛け持ちするなら、まずこの「通勤時間ゼロ」が前提条件です。
理由2:稼働時間の自由度が高い
フルリモートかつフレックス制の案件であれば、午前中はA社、午後はB社という時間割も組みやすくなります。
出社型だと物理的に2か所に同時にいられませんが、在宅ならPCを切り替えるだけで「場所」の制約がなくなります。
理由3:フルリモート特化エージェントが週3日案件を持っている
フルリモート案件に特化したエージェントには、週3日・週4日といった稼働日数の柔軟な案件が豊富にあります。
従来の常駐型エージェントでは「週5日出社が前提」の案件が多かったですが、フルリモート特化では短時間・短日数の案件も増えています。
複数案件の掛け持ちを成功させる5つのポイント
ポイント1:クライアントへの事前申告は必須
複数案件受注は必ず事前に全クライアントに通知する必要があります。
準委任契約であっても、案件によっては「専属義務」「競業避止義務」「守秘義務」が契約書に盛り込まれています。特に同じ業界・技術領域の案件を掛け持ちする場合は、情報漏えいリスクの観点でクライアントが難色を示すこともあります。
ポイント2:精算幅140〜180時間の案件を選ぶ
前述の通り、精算幅の広さが時間管理の柔軟性に直結します。
精算幅が160〜180時間など上限が高い案件だと、超過時に稼働時間が制御しにくくなります。複数案件を受ける場合は「精算幅の上限が低め(160〜170時間以内)」かつ「稼働日数が週3〜4日」の案件を組み合わせるのが現実的です。
ポイント3:技術スタックの重複を確認する
2社の技術スタックが大きく異なると、コンテキストスイッチのコストが跳ね上がります。
ポイント4:スケジュール管理ツールを徹底する
2社の締め切り・MTG・リリース日が重なると、どちらかが必ず品質低下します。
週次のスケジュールを1か所で管理し、どちらの案件も把握できる状態を保つことが鉄則です。Notionやスプレッドシートで稼働時間・タスク・優先度を一元管理するのが効果的です。
ポイント5:片方だけフルタイムを保つ
最もリスクの低い掛け持ちの構成は、「週5日のメイン案件+週1〜2日のサブ案件」です。
メイン案件で安定収入を確保しながら、サブ案件でスキル多角化・収入上乗せを図る構成です。この構成なら「メイン案件が終わったらサブを拡大する」という段階的な移行もできます。
掛け持ちに向いた案件の探し方 — フルリモート特化エージェントを使う
複数案件掛け持ちを実現するには、まず1本目のフルリモート案件を確保することが出発点です。
出社型案件でメイン案件を持つと、2本目は物理的に困難になります。逆に、フルリモートかつ稼働日数の融通が効く案件を1本確保できれば、そこからサブ案件を探す余裕が生まれます。
フルリモートに特化したエージェントを使うメリットは、案件の大前提が「出社不要」であること。「フルリモート可だが月1回出社あり」という案件が混在する一般エージェントとは、基準が違います。
フルリモート特化エージェント「Remoters」
掛け持ち目的で案件を探す場合も、「週3日〜4日稼働でフルリモート」という条件を担当者に伝えると、条件に合った案件を探してもらいやすくなります。
サブ導線:フリコンも複数登録で活用
フリコンは直請け・低マージンで知られるエージェントで、複数エージェントに登録して案件の選択肢を広げるのが効果的です。
フリコンは支払いサイトが短く、キャッシュフロー管理がしやすい点も複数案件受注時に重要なポイントです。
複数案件掛け持ちのリスクと注意点
リスク1:品質の二重低下
2社に納品物を出す以上、どちらかの品質が低下すると両方のクライアントからの評価が下がるリスクがあります。
「掛け持ちだから仕方ない」は通用しません。フリーランスには成果物の品質保証が求められます。
リスク2:確定申告・請求書管理が複雑になる
2社から報酬が発生すると、請求書の発行・入金確認・経費計上の管理が倍になります。
特に支払いサイトが異なる場合(A社は30日サイト、B社は60日サイト等)、キャッシュフローの把握が複雑になります。会計ソフト(freee等)を使って一元管理することを強くおすすめします。
リスク3:健康管理の見落とし
フルリモートの複数案件では、気づかないうちに稼働時間が積み上がることがあります。
出社なら「会社を出る」という物理的なOFF切替があります。在宅だとPCを閉じるまで仕事が続きがちで、2社掛け持ちだとどちらかのSlack通知が常に来る状態になります。
まとめ:複数案件掛け持ちはフルリモートがあって初めて現実的になる
フリーランスエンジニアの複数案件掛け持ちは、約半数が実践中というデータがある一方で、週5日フルタイム案件2本は現実的に難しいです。
成功するためのポイントをまとめます。
- 掛け持ちの現実的な形は「週5日メイン+週1〜2日サブ」または「週3日×2社」
- フルリモートは通勤ゼロ・時間の自由度で掛け持ちの前提条件を整える
- 精算幅140〜180時間ルールで時間管理を徹底する
- クライアントへの事前申告と守秘義務確認は必須
- フルリモート特化エージェントで稼働日数の融通が効く案件を探す
掛け持ちを検討しているなら、まずフルリモートのメイン案件を1本確実に確保することが出発点です。