
この記事の結論3行まとめ
- freeeは便利だけど「その経費、本当に大丈夫?」のチェック機能がないのが不満だった
- Xで税理士さんたちの議論を見て、Chrome拡張でAIチェック機能を自作してみた
- Claude APIを使って「元国税調査官の視点」で経費をリアルタイム判定する拡張が完成!
確定申告シーズン、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
フリーランス6年目の私は、毎年この時期になると取引入力内容のチェックをしますが、
「freee使ってるけど、経費の判断って結局自己責任なんだよな...」
そう、freeeは入力は楽にしてくれるけど、「その経費、税務調査で突っ込まれないか?」は教えてくれない。
今回、その不満を解消するChrome拡張を作ったので、開発の経緯と技術的な話を書いていきます。
きっかけはXでの税理士さんたちの議論
ことの発端は、Xで見かけたこのポストでした。
fr〇eeが生み出したのは"税理士なしで申告できる納税者"ではなく"めちゃくちゃな決算書を作って出来た気になってる納税者"なのよね。 — 田舎税理士さん (@inaka_taxman)
https://x.com/inaka_taxman/status/2003390063204589893?s=20
「freeeのせいで、間違った申告が増えてるってこと?」
これに対して、元国税調査官の方がこう返していました。
このポストを拝見してパッと思いついたサービスが、「freee税務調査対応」。 調査官の質問に音声入力で対応、freeeの入力状況を確認して回答してくれたり、フォローしてくれる。 — 元国税のシロクマくんさん (@shirokuma_tax)
https://x.com/shirokuma_tax/status/2003685304163795352?s=20
「これ、面白い!というかそもそも、申告前に自分で厳しくチェックできる仕組みがあればもっといいのでは?」
そう思って、Chrome拡張で作ってみることにしました。
作ったもの:freee取引入力 税務チェッカー
freeeの取引入力画面で、経費を登録する前にAIが税務リスクを自動チェックするChrome拡張です。

主な機能
1. AIリアルタイムチェック
freeeの「支出を登録」ボタンを押すと、AIが自動で判定します。
| 判定 | 意味 |
|---|---|
| 🟢 白 | 問題なし、そのまま登録OK |
| 🟡 グレー | 要注意、摘要の補足を推奨 |
| 🔴 黒 | 高リスク、税務調査で否認される可能性 |




「例えば『スタバ』だけでは1人での利用と見られる可能性。会議費は原則2名以上での打ち合わせが前提です。」
こんな感じで、調査官目線での懸念点を教えてくれます。
事業内容や家事按分の設定もでき、チェック時に考慮させることが可能です。

2. 摘要サジェスト機能
「じゃあどう書けばいいの?」という疑問に答えて、改善された摘要文の例も提示。
入力:スタバ ↓ 提案:〇〇氏と△△プロジェクト打ち合わせ(スターバックス新宿店) ※実際の打ち合わせ内容を正確に記録するためのテンプレートです
ワンクリックでコピーできるので、そのまま使えます。
3. 勘定科目フィルター(Pro版)
取引一覧ページで、特定の勘定科目を非表示にできます。

- 勘定科目フィルター使用前

- 勘定科目フィルター使用後

「事業主貸ばっかりで、見たい取引が埋もれちゃう...」
「freee側の自動推測は助かる反面、結構間違ってることもあるから見直し必須なんだけど、チェックしずらいUIなんだよな...」
年度末のレビュー時に、ノイズを除去して効率よく確認できます。
「これくらいの機能、公式側が実装してもいいと思うんですけどね。たったこれだけでかなり手動レビューの効率が良くなるのに...まぁ、優先度の問題なのかもしれませんが。」
なぜ「税理士視点」ではなく「調査官視点」なのか
ここが設計上の最大のポイントです。
「経費の判断、誰に聞けばいいんだろう...」
普通、こう思ったら税理士さんに聞きますよね。
SNSにも税理士さんはたくさんいるし、「これは経費にできますか?」と聞けば答えてくれる。
あるいは、税務署の窓口に相談に行く人もいるかもしれません。
「でも知ってました?税務署の窓口相談って、法的拘束力がないんですよ。」
つまり、窓口で「大丈夫ですよ」と言われても、税務調査で否認される可能性は普通にある。
窓口の相談員と、実際に調査に来る調査官は別の人間。見解が違うこともあります。
実際、「税務署で聞いてから記帳したのに、調査で認められなかった」というケースは珍しくありません。
そして、税務調査で対峙するのは税理士でも窓口相談員でもない。国税調査官です。
| 視点 | 立場 | 考え方 |
|---|---|---|
| 税理士視点 | 守る側 | 「どう通すか」を考える |
| 窓口相談 | 案内係 | 「一般論」を答える |
| 調査官視点 | 攻める側 | 「どこを突くか」を考える |
サッカーで言えば、FWの動きを知りたいのに、GKや受付スタッフにしか聞けない状態。
「でも、国税調査官と話す機会なんて普通ないですよね。Xで見かけても、なかなか個別の経費相談なんてできないし。」
だからこそ、調査官が「ここを突く」と考えるポイントを、入力時点で教えてくれる仕組みに価値があると考えました。
税理士さんが「大丈夫ですよ」と言っても、調査官が「これは怪しい」と思えば質問される。
税務署で「問題ないですね」と言われても、調査では別の判断がされることもある。
調査官視点で問題がなければ、突っ込まれるリスクは下がる。仮に質問されても、事前に想定して記録しておけば堂々と説明できる。
これがこの拡張のコンセプトです。
また、税理士法との整理も重要でした。
| NG | 「このAIが税務アドバイスします」→ 税理士法違反の恐れ |
|---|---|
| OK | 「記録が不十分だと調査で説明しにくくなる」という情報提供 |
AIは「経費にできない」とは言いません。「調査官ならここを突く」という情報を提供するだけ。最終判断は納税者自身に委ねる設計にしています。
料金プラン
「でも月1,000円かぁ...」
正直、その気持ちはわかります。
でも考えてみてください。
税務調査で1件の経費が否認されたら?
- 10万円の経費否認 → 追徴税額 約3〜4万円
- 悪質と判断されれば → 重加算税35% が上乗せ
- さらに延滞税も...
そして何より、「この経費、大丈夫かな...」と毎回モヤモヤする時間。
確定申告前に過去の取引を見直して「あれ、これ何の経費だっけ...」と不安になる、あの感覚。
「月1,000円で、入力時点で不安を潰せて、意識を変えられるなら安いかなと。税理士の顧問料は月1〜3万円しますしね。」
| プラン | 料金 | 内容 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 月5回まで |
| Pro | 980円/月(税込1,078円) | 無制限+行の勘定科目フィルター機能 |
まずはFree版で試してみてください。5回使えば、価値があるかどうか判断できるはずです。
使い方
インストール
- Chrome ウェブストアから「freee取引入力 税務チェッカー」をインストール
- freeeの取引入力画面(https://secure.freee.co.jp/deals)を開く
- 拡張機能アイコンをクリックして事業情報を設定
経費チェック
- いつも通りfreeeで経費を入力
- 「支出を登録」ボタンをクリック
- AIがチェックして結果をモーダル表示
- 🟢なら自動登録、🟡🔴なら内容を確認して判断(🟢は自動登録するか、結果確認モーダルで止めるかは設定で変更可能)
サンプル(事業内容にエンジニアを設定した場合)
- 🟢 / 消耗品費1500円 Ruby技術書


- 🟡 / 消耗品費25000円 備考記載なし


- 🔴 / 交際費98000円 備考記載なし


今後の展望
- 判例・事例ベースの根拠追加: 「〇〇という判例では否認」など、説得力のある根拠を提示
- 按分提案機能: 推奨按分率と根拠を自動提示
- 税理士マッチング: 「専門家に相談」→ 提携税理士紹介
「税理士さんに監修してもらえたら、もっと精度上がりそう」
もし興味のある税理士さんがいらっしゃったら、ぜひXでDMください。
⚠️ 大事な注意
このツールは正当な経費を正しく記録するためのものです。
- 実態のない経費を「それっぽく」記録するためのツールではありません❗️
- AIのサジェスト通りに書いても、実態がなければ否認されます❗️(当然ですね)
- 架空経費の計上は脱税であり、重加算税の対象です❗️
正しい経費を、正しく記録する。 それをサポートするのがこのツールの目的です。
まとめ
freeeは便利だけど、「その経費、大丈夫?」を教えてくれない。
その不満を解消するために、AIが元国税調査官の視点で税務リスクを判定するChrome拡張を作りました。
確定申告シーズン、少しでも不安を減らすお手伝いができれば幸いです。
「フリーランスの皆さん、正しく取引入力して、一緒に確定申告乗り越えましょう!」
リンク
- Chrome ウェブストア: https://chromewebstore.google.com/detail/pmjfjifpadhnkddieedbnbpeiilgecpp
- X: @freeetaxchecker
※本拡張機能はfreee株式会社の公式サービスではありません。 ※AIによる判定は参考情報です。最終的な税務判断は税理士等の専門家にご相談ください。